“暮らしのストレス”は、だいたい3種類:温度・音・片づけ
- 公開日:2026-01-26
家にいるのに落ち着かない、休んだはずなのに疲れが残る。
そんなときは、自分の気合いよりも「暮らしの環境」を点検すると改善の糸口が見つかることがあります。
この記事では、ストレスの要因になりやすいものを「温度・音・片づけ」の3つに分けて、今日からできる小さな工夫をまとめます。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。体調に不安がある方や持病のある方は、医師等の専門家にもご相談ください。
まずは「3つに分ける」と、やることが小さくなる
暮らしのストレスは原因が重なりがちです。そこでこの記事では整理のために「温度」「音」「片づけ」の3つに分けて考えます。
いきなり暮らしを大改造しなくても、気になるところを1つずつ整えるだけで、体感が変わることがあります。
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温度:寒さ・暑さ・温度差は、思った以上に消耗しやすい
「家の中が寒い(暑い)」は、単に我慢の問題ではなく、体への負担につながりやすいテーマです。
特に寒い季節は、部屋ごとの温度差が大きいほど、移動するたびにストレスになりがちです。
18℃と20℃は「目安」。目的に合わせて使い分ける
WHOの住宅と健康に関するガイドラインでは、寒い季節の室温として18℃が「安全でバランスのよい室温」として提案されています(一般的な目安であり、子ども・高齢者・慢性疾患のある方などはより高い最低室温が必要になる場合もあります)。
一方で、環境省のウォームビズでは、暖房時の室温を20℃(目安)として運用する考え方が紹介されています。
どちらが正しいというより、18℃は「下回り続けないための目安」、20℃は「暖房の運用目安」と捉えると、生活に合わせて使いやすくなります。
まずは温湿度計を置いて、体感と数字をつなげてみてください。
湿度は「乾燥しすぎない」「上げすぎない」の間で
乾燥していると喉や肌がつらくなりやすく、落ち着かなさの原因になることがあります。
厚生労働省のインフルエンザQ&Aでは、乾燥で気道粘膜の防御機能が低下しやすいことに触れつつ、乾燥しやすい室内では湿度50〜60%を保つことも効果的としています。
一方で、湿度を上げすぎると結露やカビが気になることもあります。
環境省のウォームビズでは、快適な目安として湿度40〜60%程度が紹介され、あわせて建築物衛生法の管理基準値として相対湿度40〜70%が挙げられています。
「乾燥がつらい」と「結露が増える」の間で、無理のない範囲を探すのが現実的です。
小さく始める温度対策
・まずは測る:温湿度計をリビングと寝室の2か所に置くだけでも、原因が見えやすくなります。
・足元から整える:ラグ、スリッパ、ひざ掛けなどは、体感に効きやすい対策です。
・すき間と窓まわり:厚手カーテン、すき間風対策など、できる範囲からで十分です。
・空気を循環させる:扇風機やサーキュレーターで暖気を循環させると、足元の冷えが和らぐことがあります。
換気と安全:寒い時期こそ「止めない」
寒いからと換気を止めたくなる時期ですが、厚生労働省のQ&Aでは、季節を問わず十分な換気が重要であり、建物に組み込まれた常時換気設備や換気扇を活用して、最小限の換気量を確保することが勧められています。
窓開け換気をする場合も、暖房を使いながら短時間・少し開けるなど、室温を大きく落としにくい工夫が示されています。
また、石油ストーブやガスストーブなどの開放型暖房器具を使用する場合は、一酸化炭素(CO)中毒のリスクに注意が必要です。
東京都は、暖房器具使用時はこまめに換気し、目安として「1時間に1回以上、5分程度窓を開ける」などの工夫を呼びかけています。
音:静かじゃないことより、「眠りと集中」を奪うことが問題
音のストレスは、音量だけで決まるとは限りません。
「いつ鳴るか分からない」「自分で止められない」「夜だけ気になる」などの条件が重なると、負担になりやすいです。
まずは「いつ・どこで・何の音か」をメモする
対策の前に、短いメモを作るだけで状況が整理できます。
たとえば「夜だけ気になる」「窓側で強い」「家電の運転音が続く」など、具体化すると打ち手が選びやすくなります。
・いつ:朝・夜・在宅ワーク中・寝る直前 など
・どこ:窓側・壁側・寝室・リビング など
・何:外の車・隣室の生活音・家電の運転音 など
数字は参考に。生活の困りごとから逆算する
WHO/Europeのファクトシートでは、睡眠の質のために、夜間の寝室は30 dB(A)未満が望ましいという目安が紹介されています。
ただし家庭での計測は条件がそろいにくいので、「眠りが浅い」「途中で目が覚める」「集中が切れる」といった困りごとを基準に、対策を選ぶのが現実的です。
小さく始める音対策
・入口を減らす:厚手カーテン、窓やドアのすき間対策など。
・反響を減らす:ラグや布製アイテムを増やすと、室内の響きが和らぐことがあります。
・配置で変える:ベッドやデスクの位置を少し動かすだけでも改善することがあります。
・生活音は「軽いルール」:夜だけ洗濯機の時間をずらす、通話は部屋を変えるなど、無理のない範囲で。
片づけ:散らかりは「視界の情報量」を増やしやすい
片づけは、性格や根性の話になりがちです。
ただ実際は、散らかりが「視界の情報量」や「探し物」を増やし、小さな負荷が積み重なってストレスにつながることがあります。
片づけは「正しさ」より「ラクさ」を優先する
きれいに整えることが目的ではなく、「探す回数を減らす」「判断を減らす」ことが目的だと、続けやすくなります。
まずは“床をゼロにする”より、“広げない”仕組みづくりから始めるのがおすすめです。
住環境と気分の関係は、研究でも「関連」が報告されています
たとえば共働き夫婦を対象に、自宅を案内してもらう際の語りを分析した研究では、家を「散らかっている/未完成で落ち着かない」と表現する傾向が高い人ほど、数日間の気分の推移やストレス関連指標(コルチゾールの日内変動)との関連が示されています。
もちろん「片づければ必ず良くなる」といった因果を断定するものではありませんが、「片づけが終わらないこと自体が負担」と感じる方には、整えることが助けになる場合があります。
小さく始める片づけ対策
・仮置きの場所を1つ作る:トレーやカゴを用意し、まずは「散らからない場所」をつくります。
・よく使う物だけ定位置:鍵・財布・充電器など、探し物が起きやすい物から。
・1日5分のリセット:テーブルの上だけ、玄関だけ、など場所を小さく区切ると続きやすいです。
迷ったときの優先順位:安全 → 睡眠 → 仕組み
どこから手を付けるか迷ったら、次の順番が始めやすいです。
(1)安全や体調に直結しやすいところ:寒さ、換気、燃焼系暖房の安全確認。
(2)睡眠や集中を守るところ:夜に気になる音、寝室の環境。
(3)毎日の負担を減らす仕組み:仮置き、定位置、5分リセット。
まとめ:小さな改善で「落ち着ける時間」を増やす
暮らしのストレスは、気分だけでなく、温度・音・片づけのような環境要因が重なって生まれやすいものです。
まずは温湿度計で見える化する、音の条件をメモする、仮置きの場所を1つ作るなど、できることから小さく始めてみてください。
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ご相談・お問い合わせ
株式会社 せきやまたいち一級建築士事務所は、名古屋市で構造設計をメインに建築設計を行っています。
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気になる点があれば、お気軽にお問い合わせください。
参考情報(外部)
- WHO Housing and health guidelines(住宅と健康:室内温熱などの推奨)|World Health Organization(WHO)
- 室温20℃・湿度40〜60%の目安|デコ活(環境省・ウォームビズ)
- インフルエンザQ&A(室内の適切な湿度50〜60%など)|厚生労働省
- 建築物環境衛生管理基準(相対湿度40〜70%など)|厚生労働省
- 室内空気環境の管理(24時間換気、暖房時の換気など)|東京都保健医療局(PDF)
- 石油ストーブを安全に使用しましょう(換気の注意)|東京くらしWEB(東京都)
- Noise(寝室の夜間騒音の目安など)|WHO Regional Office for Europe
- Home tours correlate with daily patterns of mood and cortisol(住環境と気分・ストレス指標の関連)|PubMed
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。住まいの状況や気候条件によって最適な対策は異なります。



